大手企業 勤務獣医師 院長
アイビー・ペットライティング代表
公益社団法人 日本アロマ環境協会認定アロマテラピーインストラクター
【得意分野】
皮膚疾患・内科疾患・アレルギー、アトピー
【プロフィール】
京都市生まれ
1996年3月 山口大学農学部獣医学科(現:山口大学共同獣医学部) 卒業
1996~2006年 山口県内の複数の動物病院で代診として勤務
2006年3月 山口市阿知須でふくふく動物病院開業
2023年3月 事業譲渡に伴いふくふく動物病院閉院
2023年4月 転職先の動物病院で院長を務める
2023年6月 アイビー・ペットライティング設立 代表を務める
AEAJ認定アロマテラピーインストラクターの資格を生かし、ペットと飼い主様にやさしいアロマも紹介しています。
様々な種類のペットのことを知りたくて、一時期はアヒル、鶏、リクガメなど40匹のペットとともに暮らしていました。現在は、保護猫ちゃん2匹、キャバリア1匹、ロップイヤー(うさぎ)とともに暮らしています。
動物病院で行う治療は多岐にわたりますが、様々な分野の治療を行うジェネラリストとして研鑽を積んでまいりました。その中でも、長い被毛が美しかったシー・ズーの被毛が全体的に抜けてしまい途方に暮れた飼主さまとの出会いで皮膚疾患に注力するようになりました。なぜ抜けたのか、なぜ生えてこないのかを必死に考えました。結果的に元通りのきれいな被毛が生えそろい、ドッグショーに出場できるまでになりました。
ペットの病気はペットだけではなく、飼主さまの人生も変えてしまうことがあります。ペットだけでなく飼主さまも支えていくことができるような獣医師で居続けることができるように、これからも努力していきたいと思います。
平松育子獣医師インタビュー
平松先生に色々とお話を伺いましたので、ご紹介いたします。
獣医師になろうと思ったきっかけは、馬の骨折を治療できるようになりたかったからです。
馬が走る姿が好きで、子どもの頃から競馬中継を見るのが好きでした。
たまたま、見ていたレース中に落馬事故が起こり、馬も騎手も大けがを負いました。騎手の方は麻痺が残る重症で、馬は肢を骨折してしまったのですが安楽死が選択されました。
骨折で安楽死が選択されるという事実が受け入れがたく、馬の獣医師になり治療したいと思うようになりました。
あきらめないこと。
自分の実力の限界をわきまえ、できないことをできると言わないこと。
正直であること。
様々なつらいことがありますが、自分以上にペットたちの方がつらいけど、何も言わずに耐えていると感じます。時々ですが、人間以上に自分と向き合っていると、その生きざまに教えられることがたくさんあります。
技術や知識は必要なのですが、包み隠さず話すことができ、それを否定せずに聞いてくださる獣医師さまが信頼できると思います。全ての獣医師がどんな難病でも治療できるわけではないので、それは実力不足だと判断されればすぐに専門の先生に紹介してくださる先生も信頼が厚いです。
かかりつけのお医者様は、自宅から通いやすく、よく話を聞いてくださる先生が良いと思います。否定や、𠮟りつけが多い先生はお勧めしません。
セカンドオピニオンは必要ですが、二の足を踏んでしまう理由は、否定されることにあると考えます。
セカンドオピニオンは治療成果が出ないことを非難するためにあるのではなく、早く症状を改善していくために不足していることを違う角度から発見して、解決に導くためにあります。
どんなに考えて治療を行っても改善しない場合は、見落としや気付けない点があるはずです。それを確認していただくためにセカンドオピニオンがあります。
最初の先生のところでは良くならなかったけど、後から診てもらった先生のところではすぐよくなったから最初の先生は藪医者だ。みたいな話はよく聞きますが、決してそうではなく最初の先生が行った治療では改善しなかったのなら、その方向性はすでに否定されているので違う方向から考えようというように、新しい道筋を立てることができます。
後から名医という言葉もこれを踏まえています。
むしろ、セカンドオピニオンを提案した先生にも感謝すべきと考えます。セカンドオピニオンはある意味、自分の能力不足を認めることになりますので勇気が必要です。
そっくりのケースはたくさん経験しています。
大学生のころ入院していたブルドッグの女の子と飼い主さまが並んで歩いてらっしゃる後姿が驚くほどそっくりで、特に足の運びのタイミングが全く同じで、不謹慎ながら笑ってしまいました。
穏やかなご高齢の飼い主さまのもとで育ったわんちゃんはのんびり屋さんが多いです。確かに飼い主さまの性格がわんちゃんの性格に反映されているなと感じることは多いです。
キャバリア・キングチャールズ・スパニエルです。
現在のわんちゃんは3代目のキャバリアです。
怒らず、おおらか、天真爛漫なところがホッとします。
若いころはわんちゃんが好きでしたが、最近はねこちゃん贔屓です。
理由は、私が年をとってきてわんちゃんのハイテンションにお付き合いする体力が落ちてきたからかもしれません。
若いころは、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、ポインター(MIX)など比較的大型犬が好きでした。そののち、チワワやミニチュアダックスフントなどと暮らし、キャバリアに落ち着いています。ほぼ全員保護犬です。
まずは、まめなお手入れと定期的な健康診断をお願いします。
トリミングサロンに通うことで、自宅で見てあげる以上にトリマーさんが全身をチェックしながらトリミングをしてくださるので、小さな異変でも気づいてくださります。
また、シニアまでは年に1回の血液検査などを含む健康診断は必須です。シニア以降は年に2回の健康診断をお願いします。
それ以外にも数か月に1回は簡単な健康診断で病院に通っていただければと思います。血液検査、尿や便の検査、レントゲンやエコー検査は大切です。
全年齢を通じて気を付けていただきたいのは、比較的良質なフードを選ぶということです。健康な体づくりの基本は、毎日食べるフードをきちんと選ぶということです。便のにおいが少なめで、良便が出ていることがその子にとって合っているフードだと思います。
大学生のころ担当していた腎不全のトイプードルさんがいました。
状態が悪化したため、24時間体制で看護していた際に急変したため、飼い主さまに連絡をしたら、他府県にもかかわらずすぐに駆け付けてくださりました。
飼い主さまと一緒に、わんちゃんの様子を見ながら色々なお話をしました。そのわんちゃんとの出会いや、プライベートなことまで、ずっとそのわんちゃんの頭をなでながら話しておられました。
私は、その当時動物の病気のことにしか目が向いておらず、その飼い主さまの話を伺いながら飼い主さまの思いには目が向いていなかったことに気づかされました。
その夜、わが子とともに最後を過ごしたいという希望で真夜中に車で一緒に帰られました。「あなたは絶対にいい先生になるよ。もうこの病院に来ることはないかもしれないけど、応援してる」と言ってくださったのが、心に残っています。
開業するきっかけは「自分らしく治療できる病院が欲しかった」ということと、「女性がライフステージに合わせて働ける場所を作りたい」ということでした。正直、そんなに甘くはなかったのですが...
獣医師を長く続けるとやはり自分らしさというものが出てきます。その、自分らしさというものは勤務医のままだとなかなか出すことができず、小さな不満が溜まっていきます。
あらゆる面で飼い主さまと話し合い、ペットも含め全員が思い残すことのない治療をしたいという希望がありました。そんな自分らしさでやっていけるかどうかはわかりませんでしたが幸い開業にこぎつけることができました。
その結果は、来院理由を伺うアンケートを行ったときに「話をちゃんと聞いてくれるから」という飼い主さまの回答で達成できているかなと思えました。
また女性の人生は、自分の思い通りを貫けない時期があると思います。
例えば、結婚したら、子どもが生まれたら、子どもが病気をしたら、子どもの長期休みの間誰が子どもを見るのか、親の介護など。自分以外の家族の事情を優先して決めないといけない時期があると思います。
私が、勤務医時代はそんなことは度外視で、ほぼ全て職場に合わせることができないと退職を余儀なくされました。動物病院では特にそれを感じました。たまたま、子育て時期に全く違う業種で仕事をしていた時に、子どもの病気で休まないといけなくなりました。
連絡をすると快く休むことを承諾してもらえました。うれしかったし、もっとこの仕事を頑張ろうと思えました。そんな動物病院を作りたかったのです。
順調にいかないことの方が多かったし、スタッフとぶつかってしまい院内の雰囲気がギスギスしてしまったこともありました。順風満帆というわけにはいかないけど、そんな病院を支えてくれる人がたくさんいました。
家族、スタッフ、飼い主さま、関係業者の皆さん、無条件にしっぽを振ってくれるわんちゃんたち、落ち込んでいたらすりすりとしてくれるねこさんたち。長きにわたり築いてきた人たちやペットたちとの信頼関係を絶対に壊したくなくて、開業した17年間を走ってきました。
病院は一人暮らしの父のそばに戻ろうという個人的な事情で、最後の勤務先の先生に事業譲渡しました。
海のものとも山のものともわからない、そんな動物病院に来てくださった飼い主さま、スタッフの方々、私の都合に振り回され続けたにもかかわらず助けてくれた家族に感謝の思いでいっぱいです。
楽しいこと、辛いこと、様々な思いを全部糧にして、今後もどこかで生かし、みなさんに還元していくことができればよいなと思っています。