家にある観葉植物を食べてしまった…散歩中、犬が草花を食べてしまう…犬を飼っていると、多くの方が悩むこと。
犬が植物を食べてしまった時の対処法や、犬にとって危険・安全な観葉植物、そして草花を画像つきで解説。食べる理由、食べさせてはいけない理由などについて、獣医師の後藤 慎史先生監修の元で詳しく解説いたします。
併せて、実際の体験談や、安全な植物もご紹介していますので、参考にしてくださいね。
犬が植物を食べた時の対処法
まずはじめに、犬が植物を食べてしまった時の対処法についてお話します。
口の中の植物を取り除く
犬が、イタズラして植物を噛んでいたり、ムシャムシャと食べている途中であれば、残りの植物を犬の口の中から取り除きましょう。
ただし、「あ〜!」と大きな声を出したり、無理やり取ろうとすると、犬は奪われまいと急いで飲み込んでしまうので注意が必要です。飼い主さんが焦ると犬にも伝わります。できるだけ慌てず落ち着いて対処してくださいね。
病院へ連絡し診察を受ける
その後、すぐに動物病院へ連絡してください。以下の情報を電話で伝えて、診察を受けましょう。
- 食べた時間
- 食べた植物の名前(わからなければ、写真を撮影したり、葉を持っていく)
- 食べてしまった量
- 食べてからの様子や症状
たとえケロッとしていて問題がなさそうでも、時間が経過してから症状が出る場合があります。素人判断で「大丈夫」では済まされないので注意してくださいね。
犬が植物を食べたら1分1秒でも早く病院へ連絡し、獣医の指示に従いましょう。
危険!犬が植物を食べた時してはダメなこと
犬が植物を食べてしまった際は、何も飲ませてはいけません。
子どもが洗剤や石鹸などを誤飲したとき、牛乳を飲ませる対処法がありますが、タバコの場合のように飲ませると逆効果です。植物の中毒成分が水に溶け体内への吸収が急速に進む可能性もあるからです。
加えて「ヨーグルトや卵白を飲ませると胃に保護膜を作って守ってくれる」という情報がネット上にありますが、植物の中毒成分と一緒になって化学反応を起こす危険性もあります。
「植物の毒性が薄まる」と勝手な判断で思い込んで、安易に何かを飲ませないようにしてくださいね。
植物の中毒症状はどんな?
植物の毒性は犬にさまざまな症状を引き起こします。
- 嘔吐・下痢
- 胃腸炎
- よだれを垂れ流す・泡を吹く
- 皮膚炎(痒み痛み、腫れやただれなど)
- 眼症状
- 貧血・ふらつき
- 尿の減少・血尿
- 虚脱症状・運動失調
- ショック状態・幻覚・痙攣・神経麻痺
- 血圧低下・呼吸数減少
- 瞳孔散大・呼吸困難・昏睡
- 循環不全・腎障害・肝障害
- 死亡
犬が食べ物を食べ消化する時間は、12時間〜24時間だと言われています。(胃で2時間、小腸で1時間、その後大腸でゆっくり水分を吸収し、12時間後にウンチとして排泄)
しかし、消化吸収を待たずに、食べてすぐ中毒を起こす毒性の強い植物もあります。
病院では、催吐処置(吐かせる)や胃洗浄、点滴・毒素吸着剤投与などの治療を行います。時間が経過している場合は、状態によっては様子を見る場合もあります。
犬にとって危険な成分のある植物
お散歩中、植物を食べてしまうのは、注意していれば回避できますが、家に飾ってある観葉植物だと、そういうわけにはいきません。四六時中見ているわけにはいきませんものね。
そのため、家や庭にある植物が危険がどうか、予めチェックし、犬が食べられないように対応しておきましょう。
ポトス(サトイモ科ハブカズラ科)
一般的で大変育てやすいポトスは、「シュウ酸カルシウム」が含まれており、犬にとって大変危険な観葉植物です。
症状は口の刺激や痛み、口唇や舌・口腔の腫れや炎症、皮膚炎、発熱、嘔吐・飲み込みにくいなど。少し噛んだだけでも、口腔内が腫れて皮膚炎や嘔吐・発熱などを引き起こす可能性があるんですよ。重度になると呼吸困難を起こすことも。
里芋を触ると手がチクチクして痒くなりますよね。それが、口内や体内で起こるんです。いわゆる「アク」ですが、犬にとってはそんな簡単なものではありません。
モンステラ(サトイモ科・モンステラ属)やクワズイモ(サトイモ科クワズイモ属)なども、ポトスと同じく危険なので注意しましょう。
クワズイモを食べた人を見た方は、以下のように語っています。
鹿児島で中毒症状の人を見る機会がありましたが、ろれつが回らなくなり、よだれが止まらなくなります、口元の締まりが悪くなり、アホのような表情になっていました。
引用元:Yahoo!知恵袋
人でそれなのですから、犬となれば…症状がどれだけ酷くなる恐れがあるか、考えると怖いですね。
その他に食べた方もいました。
小学生のときに見た目がザクロに似てるってだけで口に入れて、3日ほど喋れなかったことがありました笑
引用元:Yahoo!知恵袋
クワズイモの実は、赤くて子どもから見れば、まるでザクロのようなんです。
アイビー(ウコギ科キヅタ属)
アイビーは、葉が星型の観葉植物で、「ヘデラ」とも呼ばれる「つる性」の植物で、「サポニン」という毒性があります。
アイビーを犬が食べると、嘔吐や下痢・腹痛などの症状を起こします。ひどい皮膚炎を起こすこともあります。ポトス同様、育てやすい観葉植物ですが、犬の手の届く場所には置かない方がいいですね。
アイビーの葉の模様さまざまで、濃い緑色だったり、白斑入りやマーブル模様の葉などがあります。葉がハート型の「ヘデラ・サーク」や、「ヘデラ ダックフット」や「ヘデラ・スペチュリィ」など、同種類に見えない小ぶりの葉のアイビーもあるので注意してください。
幸福の木(リュウゼツラン科ドラセナ属)
幸福の木(ドラセナ)を犬が食べると、大量によだれを垂らしたり、食欲不振・嘔吐・下痢・手足の腫れ・麻痺などの症状が出ます。幸福の木は葉だけでなく、甘い蜜が出る花も中毒を起こしてしまいます。
こちらのマルチーズちゃんは、幸福の木の花を食べて、まぶたが思いっきり腫れ上がっています。顔に花をいっぱいつけて舐め、目の周りについてしまったというのが獣医師の予想です。消化器に症状が出ていないということですが、運がよかったのかもしれません。
引用元:山田動物病院ブログ
幸福の木の花は、10数年に1回しか咲かないほど貴重な花なのですが、これだけ美しくても毒になるんですね。
最悪死亡する例もあるようなので、気をつけなければいけませんね。
ですが、モト冬樹の愛犬は、リビングに置いてある観葉植物に飛び上がって食べていたとのこと。
リビングに置いてある観葉植物
下の方の葉が
いつのころからかぼろぼろだ気がつくと
ポンムが飛び上がって食べていた困ったもんだ
ちゃんと
ご飯はあげてるのに引用元:ameblo.jp
見たところドラセナだと思うのですが、ほんと何ともなくてよかったですね。
金の成る木-カネノナルキ-(ベンケイソウ科クラッスラ属)
金の成る木は、住宅街でも家庭でもよく見かける植物ですよね。クラッスラ、ポルツラケア、カゲツ、フチベニベンケイ、マネーツリー、ダラープラントなど、さまざまな名前で呼ばれる多肉植物です。
中毒性はさほど高くありませんが、嘔吐や食欲不振・下痢などの中毒を引き起こします。
以下のような経験者もいるので、慌てず冷静になって病院へ連絡してくださいね。
我が家にも置いてあり、仔犬時代のウチの子(コーギー)がよく食べていました。大量に食べない限りは大丈夫です。
引用元:Yahoo!知恵袋
ただ、このコーギーちゃんの体質だからこそ回避できただけかもしれないので、安心しきらないようにしましょう。
もし、家に金のなる木があったとすれば、犬の届かない場所に置いた方がいいでしょう。大きなトイ・プードルや中型大型犬は、棚を倒して食べる可能性も考慮して対処してくださいね。
金の成る木にも花が咲きます。
引用元:itohen-towel.jp
アロエ(ツルボラン亜科アロエ属)
アロエは、「バーバロイン」という中毒成分によって、嘔吐・胃炎・下痢・貧血・血色尿素・腎炎などを引き起こします。立てなくなったり動きにくくなったりする場合も。
金のなる木同様、あちこちでよく見かけますが、一言でアロエと言っても300種以上もあるんですよ。
ほとんどの方は「キダチアロエ」や「アロエ・ベラ」を思い浮かべるでしょうが、「ストリアータ」や「プリカティリス」、「ディコトマ」などたくさんの種類があるため注意しましょう。
ディフェンバキア(サトイモ科)
ディフェンバキアは、ポトスやモンステラと同じサトイモ科で、嘔吐、口唇や舌・口腔の痛みや腫れや、皮膚炎、発熱、呼吸困難などの中毒を起こす危険性があります。
口の粘膜に触れるだけで、痺れなどの痛みが生じる場合も多くあるんですよ。
サトイモ科は、シンゴニウム、アグラオネマ、スパティフィラム、カラーなどがあり、観賞用に利用される植物が多いため気をつけましょう。
アブラナ(アブラナ科)
道端に多く生息しているアブラナやカラシナは、甲状腺に問題を抱えている犬には食べさせないようにしましょう。アブラナ科の「グルコシノレート(カラシ油配糖体)」と呼ばれる成分が、甲状腺機能低下や甲状腺肥大の病気を悪化させる恐れがあります。
病気を持っていなくても、高齢のワンちゃんは気をつけた方がいいですね。上記右側アブラナ科のナズナのように、ただの雑草だと思い油断するのも危険です。何気にタンポポの葉と似ている感じがしますが、お散歩中ムシャムシャしないように、しっかり注意してあげましょう。(たんぽぽは犬が食べても害はありません。)
ちなみに、アブラナ科の野菜には、キャベツ・白菜・カリフラワー・ブロッコリー・大根・かぶ・白菜などがあり、低カロリーで栄養価が高くメリットも多い野菜です。ドッグフードに含まれている「クレソン」も、アブラナ科の植物の成分です。
いずれも、危険なわけではありませんが、与えすぎには注意が必要です。
ユリ(ユリ科)
ユリ科の植物を犬が食べると、嘔吐・食欲不振・発作・多飲多尿など大変強い中毒を引き起こし、命に関わる事態を招きます。
数時間で症状が現れ、初期の段階では、尿やお水を飲む量が増えますが、次第に尿の量が減り、腎障害が進行。3日以内に腎不全を引き起こす可能性があるんです。(腎不全は治ることのない病気です。)
そこまで危険な植物でありながらも、ユリの中毒成分は特定されていませんが、ユリの花を飾っていた花瓶の水を飲んだり、花や葉・茎などをひと噛みしただけで中毒を起こす場合も。花粉でさえ危険です。
テッポウユリ、ニワシロユリ、オニユリ、ヤマユリ、ササユリ、リーガルリリー、タカサゴユリ、コオニユリ、カノコユリ、キスゲ、スターゲイザー、カサブランカ、イースターリリーなど、さまざまな種類がありますが、100種類以上あると言われていますので、ラッパ状の花は安易に飾らない方がいいですね。
チューリップ(ユリ科チューリップ属)
犬がチューリップを食べると、嘔吐や下痢、血圧低下・呼吸困難などの症状が現れます。ユリと同様、ワンちゃんや猫ちゃんが死亡した例もあるほど危険です。
チューリップは、花・葉・茎・球根全てに「ツリピン(チューリッピン)」という心臓毒成分が含まれ、特に球根が危険です。
球根が傷つくと「ツリパリンA」というアレルギー性物質も生成されます。成分が皮膚につくだけでも、痒みやかぶれ・炎症を起こすため注意しましょう。人の皮膚についても、同じ症状が出るため、気をつけてくださいね。
紫陽花(アジサイ科)
アジサイは、花や葉・茎・根全てに、青酸配糖体(アミグダリン)という中毒の原因になる成分が含まれています。中毒の原因になるのは、犬がアミクダリンを食べて消化するときに発生する「シアン化水素(青酸ガス)」です。
嘔吐や意識障害、痙攣・麻痺などさまざまな症状があらわれ、人でも死亡するほど危険なんですよ。
ふたばクリニックによると、アミグダリンの致死量は(シアン化水素の致死量より概算)人で1.4〜2.1g。60kgの人と仮定し、3kgで計算すると、たったの0.7mgです。人と犬とは違いますが、ほんの微量で死に至る可能性があるんです。
アジサイの種類によっては、その成分が含まれていない品種もありますが、散歩中綺麗だからといって、わんちゃんを忘れて鑑賞しないように注意しましょう。
鈴蘭(スズラン亜科)
君影草(きみかげそう)、谷間の姫百合(たにまのひめゆり)とも言われるスズラン。小さく可憐な花ですが、とっても危険な中毒性のある植物です。
スズランには、強心作用(心筋収縮力の増大による心拍出量の増加)を引き起こす「コンバラトキシン」「コンバラマリン」「コンバロシド」などが含まれています。 犬がスズランを食べてしまうと、嘔吐・めまいや頭痛、血圧低下、心臓麻痺などを起こし死亡する場合もあります。
ユリのように、スズランを生けた花瓶の水を飲むだけでも中毒を引き起こしたり死亡する可能性も。
紫陽花の中毒成分と同じくらいの致死量なので、食べてすぐ病院に電話をかけたとしても間に合わないかもしれません。コップに生けたり、生けてあった水が飛び散らないように。またプランターや庭の土を掘り起こし、球根や根を食べてしまわないように、細心の注意を払いたいものです。
彼岸花(ヒガンバナ科)
土手や線路沿い、田舎のあぜ道や街路でも見かける彼岸花。曼珠沙華(マンジュシャゲ)、リコリス・ラジアータとも呼ばれ、鮮やかな赤い花を咲かせる有毒植物です。
ヒガンバナの有毒成分は、「アルカロイド」という物質で、犬が食べてしまうと、下痢や嘔吐・呼吸困難・心不全・皮膚のかぶれなどを引き起こします。毒矢に使用されていたと言われているので、犬にとっての毒性はもっと危険ということになりますね。有毒のため、ネズミやモグラの撃退法として使われていたとも言われています。
ヒガンバナは9月頃開花しますが、花が枯れた後は、ニラによく似た葉が出てきます。
引用元:www2.tokai.or.jp
ヒガンバナの葉だと気づかずに犬が食べてしまっても、中毒を起こすため注意しましょう。
またその後、鱗茎(球根)は埋まったままでも毒性があります。掘り起こして食べてしまわないように、散歩中はしっかり見てあげてくださいね。
アサガオ(ヒルガオ科)
アサガオは、種に「ファルビチン」「コンボルブリン」という毒の成分があります。犬が食べてしまうと、嘔吐や下痢、血圧低下などを引き起こします。
以下のような書き込みがありました。
小型犬がいるのですが、我が家のワンコは庭で遊ぶのが大好きで、しかも葉っぱを食べたがります。
娘が朝顔を植えたいと言い出したのですが、植えて、万が一犬が葉っぱを食べても害などはありませをか?どなたか教えてください!
ベストアンサーの回答では、「種には毒性がある・人間の大人でも1粒か2粒で嘔吐する。獣医に相談した方がいいかも」とのこと。そして、以下のお礼コメントでした。
動物病院に相談したところ、嘔吐がなければ様子を見ていいとのことで大事には至らずほっとしてます。もうお花は怖くて植えられません
引用元:Yahoo!知恵袋
おそらく、この方はすでにアサガオを植えて、犬が葉を食べてしまっていたのでしょうね。それはともかく「嘔吐がなければ様子を見ていい」という獣医師さんの言葉。大量に食べなければ、毒性はそこまできつキツくないようです。
とはいえ、葉にも毒性はありますし、個体差により大事に至る可能性もあるので、注意が必要です。
ツツジ(ツツジ科)
ツツジには「グラヤノトキシン」という有毒物質が含まれ、循環器系に影響を与え、重篤な中毒症状を引き起こします。
嘔吐・腹痛が数時間続いた後、呼吸数の低下・心室性不整脈・不全収縮・高カリウム血症、死に至る場合もあります。心臓ペースメーカーを装着しなければいけない例も。
直接花から蜜を吸ったり、ツツジ科植物の蜜から作られた蜂蜜で中毒した事例も報告されています。
ツツジ科植物の有毒成分は、人や犬だけでなく、昆虫類に対してだけでなく細菌カビ類に対しても生育を阻害すると言われています。それだけ注意が必要ってことですね。
ツツジ科には、アセビ・アザレア・サツキ・シャクナゲなどもあります。ブルーベリーもツツジ科なんですよ。
スイートピー(マメ科)
スイートピーは、実はマメ科に属する植物で、「毒性アミノ酸」が含まれていて神経麻痺を起こします。犬がスイートピーを食べてしまうと、脊髄神経が麻痺し歩行できなくなる場合も。特に、種は強い毒性を持っています。
以下の方は、友人からのメールで、愛犬がスイートピーの種を食べて昏睡状態になったと知ったそうです。
なんでも愛犬ディランを病院に担ぎ込んだらしい。
異物を食べたようだということで、吐き出させる処置をしてもらったが、一時昏睡状態に陥って危険だったと言う。原因はスイートピーの花であった。
ちなみに、マメ科のスイートピーと同じく犬に生の豆を食べさせると危険が伴います。必ず火を通してあげてくださいね。豆苗も生はNGですよ。呼吸不全で死亡する可能性もあります。教わらなければ、食べさせても大丈夫な気がしてしまいますよね。
犬に野菜などを食べさせるときには、食べさせていいもの、悪いものをその都度調べた方が安心。
その他にも、アマリリス、アセビ、イチイ、エゴノキ、カランコエ、キク、キョウチクトウ、クレマチス、シャクナゲ、スイセン、シクラメン、ジャスミン、ニチニチソウ、ポインセチアなど、犬にとって危険な植物は数え切れないほどあります。
犬が植物を食べる対策と6つの理由
散歩中、植物を食べてしまう基本的な対策
- 植物が生息している道を通らない
- 生えている植物に近づけない
- 散歩コースにどんな植物が生息しているか把握しておく
- 犬が植物に近づかないよう、注意してあげる
- 犬が植物や石など道にあるものを拾い食いしないようしつけておく
家の中で観葉植物を食べてしまう基本的な対策
- 犬が家に置いてある観葉植物を食べてしまう場合、犬が届かない場所に置く
- イタズラ防止ガードなど、色々と工夫して食べられない対策をする
- 併せて、食べてはダメだと教えおく
生理的現象で植物を食べる
photo by zep2013
犬が植物を食べるのは、そう不思議な行動ではなく、祖先であるオオカミから受け継いだ生理現象の一つだと言われています。そして、基本的に、ツンツンした形状のイネ科の植物が多い傾向にあります。
イネ科の植物の中でも大変危険な雑草「ノギ」には注意しましょう。目や肉球に刺さって奥深くまで入り込み、取れなくなってしまいます。化膿し、全身麻酔で取り除くケースもあるんですよ。
対策
お散歩コースに、食べてしまう草や「ノギ」が生息していないか注意し、近づけないようにしましょう。その他の雑草にも近づけない方が安心です。
消化不良解消・異物を吐き出すために植物を食べる
犬は、消化不良の食べ物や異物を吐き出すために植物を食べるという説があります。
毎日草を食べることはないが、道端のアスファルトとブロック塀の隙間などから顔をのぞかせている「スズメノカタビラ」「エノコログサ(ネコジャラシ)」など、イネ科の植物の尖った葉の先端を食べる時は、かなりの確率で草と胃液を吐くのである(それも道の真ん中に)。ある時は草を食べて、プラスチックのアイスクリームのスプーンを吐き出したことがあり、私は犬にとっての草食の効用を認識し始めていた。
引用元:style.nikkei.com
犬でも消化不良で胸焼けを起こし、胃腸の不調が起きる時があります。そして、犬は、さまざまなものを誤飲してしまいますよね。植物を食べて食道を刺激し、食べてしまったものを吐き出しやすくするんですね。
対策
食物繊維は消化不良を促すため、キャベツやレタス・白菜などを食べさせたり、ドッグフードにトッピングしてあげると良いですよ。
(与えすぎると消化されず逆に下痢をしたり、栄養バランスが崩れます。& 甲状腺の機能低下を起こしやすいので、大量には与えないように。)
頻繁に続いたり、お腹がキュルキュルと鳴って下痢や便秘などを繰り返すようなら、ドッグフードの見直しをする方がいいでしょう。おやつの与えすぎも要注意です。
室内飼いしている柴ミックスがいるのですが、お腹がキュルキュルいって、庭の草を食べたがります。
引用元:Yahoo!知恵袋
ホームセンターなどに売っている犬猫用の安全な草を食べさせてあげるのも、1つの手です。ただ、食べないわんちゃんもいるかもしれません。
今朝、うちのトイプードルちゃんが朝ごはんを食べようとせず 散歩中に雑草を食べたがったので…(中略)全然 ダメでした…胃腸を整える草に関してはかなり好き嫌いがあるようです。
引用元:blog.goo.ne.jp
栄養バランスをよくするために食べる
photo by zhao hui
祖先が肉食だった犬は、肉とともに草食動物の胃を食べて、植物の栄養や酵素などを摂取していたと言われています。
栄養バランスが悪く、ビタミン・ミネラルなどを摂取するため、植物を食べ整えようとしているのかもしれません。土を食べてしまう場合もあります。
対策
犬のご飯の栄養バランスを見直すことが大切です。お腹の中の寄生虫に栄養を取られてしまっている場合もあるため、下痢が続いたり痩せてきたら、できるだけ早く動物病院で診察を受けてくださいね。
それに、アマゾンでペットフードを購入すると、無料で獣医師フード相談もできますよ。1番いいのは、やはりかかりつけ医への相談ですが、色々な先生の意見を聞くのも大事かな〜と思ってます。
ストレス解消のために植物を食べる
photo by zep2013
犬がストレスを感じた時、退屈を紛らわせたり、不服を解消するため、植物を食べるワンちゃんもいます。
- 草むらに無理やり連れていかれて嫌な気持ちになっている
- 無理な要求をされて不快に思っている
- まだ帰りたくないから誤魔化している
- 散歩が楽しめず気分転換している
- 家で飼い主さんが構ってくれず寂しがっている
対策
お散歩が物足りないと思う日もあるでしょう。スマホばかりで構ってもらえなければ寂しくもなります。嫌な場所があったりしたくない事だってあって当然ですよね。
わがままを聞いてばかりはいけませんが、つい飼い主の思い通りにしようと思ってしまう部分も、自覚しておかなければいけないと感じます。
注意深く愛犬の気持ちを汲み取ってあげられるようになりたいですね。
ただ単に遊びの一環で食べる
photo by zhao hui
犬が植物を食べるのは、遊びの一環である可能性もあります。特に、子犬にとって植物は目新しく好奇心をそそるものですよね。犬は、食べようとしていなくても何でも口にし、飲み込んでしまいます。
対策
草花が少ない道で散歩したり、「食べるとダメなもの」と覚えさせるレッスンを気長に行いましょう。
そして、「出す」「食べない」「ちょうだい」などのコマンドを決め、日頃から「口にしたものを渡せば、いいことがある」と犬が思うようなトレーニングも必要です。
植物の味が好きだから食べる
photo by zhao hui
味や食感が好きで、植物を食べる犬もいます。2つ目の理由のように、異物を吐き出すつもりはなくても、植物の刺激によって嘔吐する可能性も出てきますね。
対策
食べてはいけない植物の場合、大変危険なので、前述したように犬用の草(ペットプランツ)などで食べられるようにしてあげてもOKです。栽培セットなども販売されていますよ。
ワタシ個人的には、自由に食べさせるのではなく、おやつのように食べさせてあげる方がいいように感じますよ。
植物の中毒以外のさまざまなリスク
基本的に犬に観葉植物や道に生えている草花は食べさせないに越したことはありません。中毒を起こす以外にも、さまざまなリスクが潜んでいるんです。
- ノミやダニが潜んでいる可能性がある
- ノミの体内で育った犬条虫(サナダムシ)・瓜実条虫(ウリザネジョウチュウ)などの寄生虫に伝染する
- 犬猫の糞尿(排泄物)の細菌から病気が感染する
- 農薬や除草剤が散布されていると命に関わる
ノミやマダニに咬まれると激しい痒みをもたらし、アレルギー性皮膚炎になったり、貧血や栄養障害などを引き起こします。一言でアレルギー性皮膚炎と言っても、掻いた部分が皮膚感染症を起こし、さらに痒くなり搔きむしる…繰り返すためなかなか改善せず、長い期間完治しない場合もあるんです。
サナダムシやウリザネジョウチュウは小腸に寄生し、下痢や食欲不振・体重減少・発達不良などさまざまな症状が出ますが、身体内部に寄生する寄生虫には気づきにくいため注意が必要です。
さらに、突然死してしまう例もある犬伝染性肝炎。激しい嘔吐や下痢を引き起こす犬パルボウイルス感染症など、免疫力のない子犬では重篤になることが多い病気もあります。
殺虫剤や除草剤などの農薬がかかった草を食べれば、たちまち危険な状態に。子犬は特に消化が早いため、30分もすればそれらの毒が吸収されてしまいます。
ちなみに、くしゃみや咳、目や顔・マズルが腫れ上がったり、痒みを伴うアレルギー性皮膚炎は、トイ・プードルやフレンチブルドッグ、シーズーなどに多く見られます。
毎日癒しをくれて、そばにいてくれるワンちゃんのために、私たちが守ってあげなければいけませんね。
犬に安全な観葉植物
それでは、ここより犬に安全な観葉植物をいくつかご紹介していきます。
パキラ(アオイ科パキラ属)
中南米の河岸などに見られるパキラは、食べても安全だと言われています。以下のトイプードルちゃんは、パキラをむしゃむしゃ食べていたのだとか。
愛犬ベルがリビングに飾ってある観葉植物のパキラに夢中です。
そういえば、お散歩中にも草をよく食べるようになりました。野菜不足を補うかのごとく葉っぱをかじってむしゃむしゃ食べるんです。
引用元:yanesen-note.com
観葉植物のパキラには、実がなることはほとんどありませんが、実には、ジャガイモの発芽部分と同じ毒性があり、犬が食べると中毒症状を起こします。万が一、実が成るようなら、注意してくださいね。
切り戻しもでき育てやすい観葉植物なので、初心者の方にもおすすめです。
アレカヤシ(ヤシ科)
アレカヤシは、羽状に広がった葉の美しさが特徴的。エキゾチックな観葉植物です。アレカヤシに犬に影響のある毒性はありません。
南国風のインテリアにも、北欧風にも和風にもしっくりと馴染み、コーディネイトのしやすさも人気の秘密。空気清浄や保湿効果もあるため、犬にとっても、良い空間が作られます。
寒さに弱い品種なので、室内で育てたい方におすすめです。
オリズルラン(キジカクシ科オリヅルラン属)
オリズルランは、アレカヤシ同様、空気清浄効果の高い植物です。ハウスダストのアレルゲンも減少してくれる効果もあります。犬に危険な中毒性はありません。
グリーンと白のストライプ調の葉がとっても素敵。ぶら下がった子株がとっても可愛く、どんどん増やしていくことが可能です。日当たりが良くなくても、耐陰性があり、初心者でも育てやすい観葉植物として人気があります。
窓のカーテンレールに引っ掛けて吊鉢にすると置き場所にも困らず、犬もいたずらできませんね。
ピレア(イラクサ科ピレア属)
熱帯や亜熱帯に多く生息するピレアは、400種類以上もある観葉植物です。犬に危険な毒性はありません。
小型の観葉植物を置きたい方にはぴったり。種類によって葉の形状が異なるので、お好みのものが見つかるはず。水栽培も可能で、水挿しから発根させることもできます。
ちょっとしたガラス容器に入れてキャビネットやキッチンカウンターに置くだけで、華やかな印象になりますよ。
タマシダ(ツルシダ科ネフロレピス属)
シダ系で波打つような葉が特徴的でボリュームのある観葉植物のタマシダは、犬にとって有害な毒がなく安心です。
寒さに弱いデメリットはありますが、お部屋で楽しむにはもってこい。日当たりの良い窓際に置いて、株分けすればどんどん増えていきますよ。毒性はありませんが、枯れた葉がポロポロ落ちる場合があるので、床に落ちて犬が食べないようにしてくださいね。
ガジュマル(クワ科イチジク属)
沖縄などに自生する植物のガジュマルは、犬に危険な毒性はありません。「多幸の樹」と言われ、ユニークな幹の形状で大変人気を集めています。まるで生きものみたいでとってもチャーミング。
100円均一ショップでも売られていることがありますし、幹の形は1つ1う違うので、とっても楽しく選べそう。愛犬似のガジュマルと出会えるかもしれませんね。
胡蝶蘭(ラン科)
お祝い事やギフトとして喜ばれる胡蝶蘭。有毒性のない、犬が食べてしまっても安全な植物です。胡蝶蘭の花のサイズは3種類に分類され、テーブルに置けるくらいコンパクトなサイズもあります。
少し値が張りますが、部屋に胡蝶蘭があるだけで、ぐっと優雅でおしゃれな雰囲気にしてくれますよ。
ちなみに、犬にとって大変危険なスズランはラン科ではありません。
光触媒の観葉植物もおすすめ
好んで植物をむしゃむしゃ食べてしまうワンちゃんなら、せっかく飾ってある観葉植物を食べられるのは、もったいないし、やはり少し心配ですよね
そんな方は、光触媒の観葉植物がおすすめ。
光触媒は、太陽光や電気の「光」を触媒として、化学反応を起こし有機物を分解する物質のこと。ウイルスや雑菌・ホルムアルデヒドなどの有害物質を分解し、空気清浄効果を発揮したり、アンモニア臭など嫌な臭いを除去する脱臭効果、抗菌効果などが見込めます。
お手入れいらずで半永久的に効果が続くため、人気が集まっている人工観葉植物です。
フェイクグリーンなので、犬が噛んでも中毒を起こすことはありません。
ただ、引きちぎって食べてしまうリスクもあるため、いたずら好きのわんぱくワンちゃんが、食べてしまわないような対策が必要ですね。
犬が植物を食べないための対策を講じよう
犬が食べると中毒を起こす植物はもちろん、たとえ害がないと言われている植物でも、犬が口にできない対策をしておきましょう。
なぜなら、犬にとって有害な植物の中毒成分は完全に明らかにされているわけではありません。今後どんな有毒成分がでてくるかもわかりませんし、ワンちゃんの体質にもよるので、できるだけ注意しておく方が安心です。
また、植物だけでなく、鉢の中の土を食べる犬もいます。
そんな場合、殺虫剤や肥料などにも注意が必要です。土に混ぜる有機肥料は、においをかぎつけて掘り返すことがあり、固形肥料は食べてしまう可能性があるため、液体肥料を使いましょう。液体肥料であっても、土を食べてしまう可能性もありますよ。
プランターカバーなどを噛んでいたずらをする犬もいるでしょう。木製や竹・麻のバスケット・籐(とう)製のカゴなど、おしゃれなカバーを噛んで食べてしまうかもしれません。
誤飲すると、腸閉塞で死亡する例もあるので注意してくださいね。
今回紹介されているように、植物によっては、ペットにもリスクとなり、体調不良や後遺症、場合によっては死亡につながる場合もあります。
ご自宅にすでにある植物、新しく購入される植物が、ペットにリスクがあるかないかをしっかり把握されることをお勧め致します。
また、ペットに中毒症状を疑う症状を認めた場合はもちろん、症状がなくても誤飲した可能性がある場合は、後から強い症状を呈する場合もありますので、速やかなかかりつけへの受診や相談をお勧めします。
「犬に食べさせてもいい植物」でも食べさせない方がいい
かかりつけの獣医師が「犬に食べさせてもいい植物」だと言っても、ワタシは食べさせない方がいいと思っています。
かかりつけの獣医師が食べてはいけない植物を完全に把握しているとも言えません。どこだかはわからなくなってしまいましたが、「ポトスを食べてもほおっておけばいい」という獣医師もいましたし、以下のような先生も。
最近、また草を食べようとする。獣医師は食べさせて良いと言ったから除草剤が撒いてないような場所に生えているのは食べさせてる。
引用元:ameblo.jp
除草剤が撒かれていなくても、危険な草かもしれませんよね。海外にお住いの方ですが、その先生は、その辺りに危険な植物がないと判断しているのでしょうか。信用してしまうのは、怖いと感じました。
それに、獣医師によって見解や対処法も全く異なる場合もあります。1番はじめにお伝えしたように、「植物を食べ、病院にかかれない場合、水やヨーグルト卵白を食べさせると良い」という対策は、実際の某動物病院の獣医師のブログで書かれていたものです。
しかし、ダメという獣医師の判断もあります。ワタシ個人的には、タバコの例で考えると、飲み物などを飲ませるのは危険だという獣医の意見を参考にしたいと思いました。
動物病院選びはもちろん、食べてしまう以前に、私たち飼い主がしっかり管理してあげなければいけないですね。
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