【獣医師監修】犬が舐めても大丈夫な日焼け止め!中毒の注意点も

飼い主さんを舐めるのは、犬にとってコミュニケーションの1つ。顔や口周り、手などを舐めるのは愛情表現や感情表現の表れです。

でも、顔はもちろん手や腕に日焼け止めを塗っている時、舐めても大丈夫なのか心配になってしまいますよね。

結論は、犬が日焼け止めを舐めると危険です。でも、舐めても比較的安全な日焼け止めがあることをご存知ですか?

ここでは、犬が舐めても比較的大丈夫な日焼け止めのご紹介と、犬の中毒について、日焼け止めを舐めた時の対処法などについて解説していきます。

 

監修してくださった先生
平松育子獣医師

平松育子獣医師

 
大手企業 勤務獣医師 院長
アイビー・ペットライティング代表
公益社団法人 日本アロマ環境協会認定アロマテラピーインストラクター

【得意分野】

皮膚疾患・内科疾患・アレルギー、アトピー

監修日2024年3月19日

平松育子先生について詳しくはこちら

※本ページには広告が含まれていますが、公平な目線でご紹介しています。

犬が舐めても大丈夫な日焼け止め7選

ワタシ
まず初めに、犬が舐めても比較的安全な日焼け止めをご紹介しますね。

ママベビー ノンケミカルUVミルククリーム

SPF50+/PA++++

70年の歴史を持つ、医療機関向け製薬会社がつくるオーガニックブランドの日焼け止めです。完全ノンケミカル(紫外線吸収剤は未使用)・ノンシリコン100%自然由来12の無添加処方です。

アトピー素因パッチテスト、敏感肌パッチテスト、皮膚アレルギーテストも行われているから、肌が弱い飼い主さんでも安心。

紫外線散乱剤である「酸化チタン」を、100%植物成分でコーティングしているのも、わんちゃんが舐めても安心するおすすめのポイントです。

ワタシ
後述しますが、「酸化チタン」は安全性が確認されているとはいえ、やはり気になるもの。コーティングされていると安心度もアップしますね。

ワタシ
含有されている成分が少ないのも、安心できるポイントの1つです。

ノンケミカルUVミルククリームの口コミはかなり多く、評価も上々です。

使用感は、少しココナッツの様な香りがあります。付けた後は、若干オイリーな感じになりますが、私に合っていたのか肌の調子が良くなりました!

出典:Amazon

 

「白浮きする」という口コミもありますが、紫外線散乱剤のデメリットでもあります。高い紫外線防止効果があるため、仕方ないと言えるでしょう。

名称 ママベビー ノンケミカルUVミルククリーム
価格(最安値) 2,420円
内容量 70g
SPF/PA SPF50+/PA+++
クレンジング 必要なし
香り 無香料
成分 ミリスチン酸メチルヘプチル, 水,
ラウリン酸メチルヘプチル, 酸化チタン,
プロパンジオール, 酸化亜鉛, ラウロイルリシン,
水酸化Al, ペンチレングリコール,
ホホバ種子油, イソステアリン酸,
スクワラン(サトウキビ),
ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6,
トコフェロール,
イソステアリン酸ポリグリセリル-6,
ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10,
グリチルリチン酸2K, ヒアルロン酸Na
不使用 12のフリー

紫外線吸収剤フリー /
石油系界面活性剤フリー(SLES、 SLS) /
ノンシリコン / ワセリンフリー /
鉱物油フリー / 着色料フリー /
香料フリー / ポリマーフリー /
パラベン(防腐剤)フリー / アルコールフリー

動物実験 していない

ママベビー ノンケミカルUVミルク

SPF30/PA+++

上記と同じママベビーの日焼け止めです。

「SPF50+/PA+++」より弱い「SPF30/PA+++」だから、場面に応じて使い分けできますが、「紫外線散乱剤の量は少しでも少ない方がいい」と思う方におすすめ。

犬が舐めてしまうにしても、何となく少ない方が良さそうな気もしますね。

メーカーに問い合わせたところ、「SPF50+/PA+++」のミルククリームも、「SPF30/PA+++」のミルクもテクスチャや塗り心地などはほぼ変わりないとのことです。紫外線散乱剤の量が少ない分、白浮きも若干ましかもしれません。

名称 ママベビー ノンケミカルUVミルク
価格(最安値) 2,420円
内容量 70g
SPF/PA SPF30/PA+++
クレンジング 必要なし
香り 無香料
成分 水, ミリスチン酸メチルヘプチル,
ラウリン酸メチルヘプチル, 酸化チタン,
プロパンジオール, 酸化亜鉛, ペンチレングリコール,
ラウロイルリシン, スクワラン(サトウキビ), ホホバ種子油,
水酸化Al, ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6,
イソステアリン酸, トコフェロール,
イソステアリン酸ポリグリセリル-2,
ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10,
グリチルリチン酸2K
不使用 12のフリー

紫外線吸収剤フリー /
石油系界面活性剤フリー(SLES、 SLS) /
ノンシリコン / ワセリンフリー /
鉱物油フリー / 着色料フリー /
香料フリー / ポリマーフリー /
パラベン(防腐剤)フリー / アルコールフリー

動物実験 していない
クルエルティフリー

エフェラル ナチュラルUVケアクリーム

SPF43/PA+++

efferal(エフェラル)は、犬が舐めても大丈夫なハンドクリームや化粧品を販売する「サプミーレ」の姉妹ブランドです。全製品95〜100%天然の植物由来危険な成分は含まれていないから、犬や猫などのペットにも安心。その上、自社工場で製造し徹底的な品質管理が行われている化粧品ブランドです。

ナチュラルUVケアクリームは、97%ナチュラル素材なのにSPF43/PA+++UV-B波もA波も防ぐ優れた効果を持つ日焼け止めです。

潤い成分配合でスキンケアしながら紫外線から肌を守れる、愛犬家にとって大変嬉しい日焼け止めなんですよ。クレンジング不要、洗顔料で洗い流せるから、わんちゃんと触れ合う前にささっと落とせて、さらに安心ですね。

Amazonでは、「インターペット2022のブースで紹介されていて購入した」という口コミもあります。

名称 efferal(エフェラル)ナチュラルUVケアクリーム
価格(最安値) 3,500円
内容量 30g
SPF/PA SPF43/PA+++
クレンジング 不要
洗顔料で洗い流せる
香り
成分/原料由来/役割
ラウリン酸メチルヘプチル
酸化亜鉛
酸化チタン
(C15-19)アルカン
オクテニルコハク酸デンプンAl
プロパンジオール
ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6
ペンチレングリコール
水酸化Al
イソステアリン酸
ザクロ果実エキス
セイヨウサンザシ果実エキス
サンタルムアクミナツム果実エキス
シトルスグラウカ果実エキス
アカシアビクトリエ果実エキス
ホホバエステル
ビサボロール
グルタミン酸Na
クエン酸
ラベンダー油
ノバラ油 ノバラ
ニオイテンジクアオイ油
グリチルレチン酸ステアリル
ポリヒドロキシステアリン酸
グリセリン ヤシ・パームヤシ
イソステアリン酸ポリグリセリル-2
トコフェロール
酢酸トコフェロール
BG
カプロイルプロリンNa
ジステアルジモニウムヘクトライト
酸化鉄
PEG/PPG-18/18ジメチコン
シクロペンタシロキサン
メチコン
 
ヤシ・パームヤシ・トウゴマ
鉱物
鉱物
パームヤシ
トウモロコシ
トウモロコシ
ヒマ・ヤシ・パームヤシ
トウモロコシ
鉱物
大豆・ナタネ
ザクロ
セイヨウサンザシ
サンタルムアクミナツム(クァンドン)
シトルスグラウカ(デザートライム)
アカシアビクトリエ(ワイルドシード)
ホホバ
カンディアナ
サトウキビ・タピオカ・甜菜・微生物
トウモロコシ・タピオカ・サツマイモ・甜菜・微生物
ラベンダー
ノバラ
ニオイテンジクアオイ
甘草・パームヤシ
ヒマ
ヤシ・パームヤシ
ヤシ・パームヤシ・ナタネ
大豆・菜種
酢酸トコフェロール
サトウキビ
ヤシ・トウモロコシ・微生物
パームヤシ・鉱物
鉱物

 
エモリエント
紫外線散乱剤
紫外線散乱剤
エモリエント
感触剤
保湿
乳化
保湿
被覆
エモリエント
保湿
保湿
保湿
保湿
保湿
エモリエント
肌荒れ防止
保湿
PH調整
香り
香り
香り
肌荒れ防止
エモリエント
保湿
乳化
酸化防止
酸化防止
保湿
保湿
増粘剤
着色
乳化
エモリエント
エモリエント

不使用 5つのフリー

パラベン、エタノール、紫外線吸収剤、合成着色料、合成保存料

動物実験 していない

絹生活研究所UVミルクローション

SPF27 PA+++

新潟県十日町市で、シルクを使用した化粧品を生産しているブランドです。

世界初の大型無菌工場を完備し、雑菌や大気中のゴミなどの不純物が含まれていないため、保存料や防腐剤を入れる必要がないとのこと。標準的な水道水に含まれる菌の1/10以下というすごさです。

みどりまゆシルク由来の天然保湿成分を配合したUVミルクローションみずみずしくライトな着け心地で、紫外線から肌を守るだけでなく乾燥も防ぎます。

名称 絹生活研究所UVミルクローション
価格(最安値) 1,960円
内容量 30ml
SPF/PA SPF27 PA+++
クレンジング 不要
洗顔料や全身洗浄料で洗い流せる
香り
成分 水,BG,酸化チタン,グリセリン,
ペンチレングリコール,シリカ,加水分解セリシン,
加水分解フィブロイン,尿素,クエン酸,
グリチルリチン酸2K,ポリクオタニウム-51,
ヒアルロン酸Na,シロキクラゲ多糖体,
加水分解ホホバエステル,ホホバエステル,
エチルへキシルグリセリン
不使用 無着色、無香料、パラベンフリー、エタノールフリー
鉱物油フリー、フェノキシエタノールフリー
石油系界面活性剤フリー、ノンシリコン
紫外線吸収剤フリー
動物実験 していない

ルハク シークワーサー ブライトニングUVヴェール

SPF50+ PA++++ ウォータープルーフ

原材料の100%は天然由来15.3%は有機栽培、下地にも使える日焼け止めです。

汗水に強く崩れにくいウォータープルーフ仕様は、愛犬家にとってとっても嬉しいですね。紫外線吸収剤でない日焼け止めでは、滅多にないのではないでしょうか。高いSPF値なのに肌に負担が少なく、有機シークワーサーのエキスをはじめ、クリアで若々しい肌に導く植物エキスが配合されています。

ワタシ
「ルハク」は「犬が舐めても大丈夫なファンデーション」でも紹介していますが、「タルク」含有に不安がある方は控えた方がいいですね。
名称 シークワーサー ブライトニングUVヴェール
価格(最安値) 3,465円
内容量 30ml
SPF/PA SPF50+/PA+++
クレンジング 必要
水となじみにくく、水で洗い流すことがほとんどできない
「W/O(ウォーターinオイル)処方」を採用で撥水性あり
香り シトラス
成分 ミリスチン酸メチルヘプチル、酸化亜鉛、
シイクワシャー果実水、
(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル、
ポリヒドロキシステアリン酸、エリスリトール、
炭酸Ca、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6、
パルミチン酸デキストリン、
エーデルワイス花/葉エキス、チャ葉エキス、
マテチャ葉エキス、シイクワシャー果皮エキス、
ムラサキ根エキス、ユキノシタエキス、
カンゾウ根エキス、ヨーロッパキイチゴ種子油、
トウキンセンカ花エキス、ヤエヤマアオキ果汁、
アスコルビルグルコシド、ゼニアオイ花エキス、
ツバキ油、ヒマワリ種子油※、グリセリン、
BG、ラウロイルリシン、水、レブリン酸Na、
アニス酸Na、マルトデキストリン、
トコフェロール、スクワラン、オレンジ油、
バクホウシアシトリオドラ葉油※、ビターオレンジ花油、
ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、マイカ、
酸化チタン、タルク、塩化Mg、水酸化AⅠ、酸化鉄
不使用 合成保存料、合成香料、合成着色料、アルコール
石油由来成分、動物由来成分
動物実験 していない

アルガマリス ハイプロテクション UVスプレー

SPF50+ ウォータープルーフ

フランスのオーガニックUVケアブランドの日焼け止めスプレーです。

100%自然由来で、12%オーガニック原料由来。紫外線吸収剤は不使用。SPF50+という高いUVカット効果を持つ上、ウォータープルーフだから、わんちゃんとのお散歩で汗をかいても安心。

天然の海藻から抽出した独自の成分『アルガゴリア』が含有されていて、強力な抗酸化作用でお肌を守ります。メラニン抑制、シミ改善など美白効果も期待できそう。

肌をなめらかに整えるスキンケア成分を配合。メイク下地としても使えます。低刺激だから、敏感肌の方でも安心ですよ。

名称 アルガマリス ハイプロテクション UVスプレー
価格(最安値) 3,446円
内容量 100g
SPF/PA SPF50+
クレンジング 不要
香り 無香料
成分 トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ヤシアルカン、
酸化亜鉛、酸化チタン、ヒマワリ種子油、ヤシ油、
ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、
アルミナ、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、
ステアリン酸、(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル、
カプリル酸グリセリル、プロパンジオール、
トコフェロール、水、ゲリジウムセスキペダレエキス、
カプリン酸ポリグリセリル-4
不使用 紫外線吸収剤
アルコールフリー/石油由来成分フリー
パラベンフリー
動物実験 していない

ユースキン シソラ UVミルク

SPF38 PA+++

ユースキン製薬会社の日焼け止めです。無香料・無着色・紫外線吸収剤フリー・アルコールフリーで、犬がいても安全。

原材料は、植物由来ではないこと、シリコーンエーテルなどが含まれていることなど懸念点はありますが、舐めさせないのを前提にすれば、プチプラなのが嬉しいところ。

取扱っているドラッグストアもあるので、買い物ついでにさっと購入できますね。

名称 ユースキン シソラ UVミルク
価格(最安値) 1,254円
内容量 40g
SPF/PA SPF38 PA+++
クレンジング 不要
石けんで洗い流せる
香り 無香料
成分 水、グリセリン、DPG、トリエチルヘキサノイン、
酸化チタン、イソノナン酸イソノニル、
イソステアリン酸、トリエトキシカプリリルシラン、
ヒアルロン酸Na、グリチルリチン酸2K、シソエキス、
ジカプリル酸ピリドキシン、アルギニン、
キサンタンガム、カルボマー、
オレイン酸ソルビタン、含水シリカ、
水酸化Al、酸化銀、ペンチレングリコール、
フィチン酸、水酸化K
不使用 無香料・無着色・紫外線吸収剤フリー
・アルコールフリー
動物実験 していない

犬が日焼け止めを舐めた時の対処法

日焼け止めを塗った肌を少し舐めた程度なら問題ない

肌に塗る日焼け止めは、基本的に大きな危険を及ぼす成分は含まれていません。そのため、日焼け止めを塗った飼い主さんの肌を少し舐めた程度なら、問題はないでしょう。

でも、日焼け止めを塗った肌をいつも舐めさせるのは、よろしくありません

犬が日焼け止めを食べたり飲んだらすぐに動物病院へ

舐める量が多かったり誤飲するとなると、大きな危険が伴います。口の中を濡れたガーゼなどで拭って、すぐに動物病院へ電話して受診しましょう。

犬が日焼け止めを食べた(飲んだ)時の対処法

  • 犬の体重
  • 舐めた(飲んだ)時間
  • 舐めた(飲んだ)日焼け止めの量
  • 舐めた(飲んだ)日焼け止めの名称
  • 舐めた(飲んだ)日焼け止めの全成分
  • 犬の様子

上記を伝え指示を仰ぎましょう。

その際、お水を飲ませない無理に吐かせないのは絶対です。

日焼け止めの危険性/犬が中毒になる成分

日焼け止めには、「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類があります。

名称 紫外線吸収剤 紫外線散乱剤
成分 オキシベンゾン
ベンゾフェノン
メトキシケイヒ酸オクチル
オクチルトリアゾン
パラアミノ安息香酸 など
酸化チタン
酸化亜鉛など
効果 紫外線を吸収し、熱エネルギーに変換して放出 紫外線を反射する
毒性
(動物実験)
あり
発がん性、脳や肝臓・腎臓に障害
ホルモン異常、精子の減少、生殖器官への影響など
・なし(2022年)
・取り入れる量が多いと中毒を起こす

紫外線吸収剤は犬に危険

犬に有害な紫外線吸収剤

紫外線吸収剤」(ケミカル)は発がん性のリスクが示唆され、動物実験でも毒性があることがわかっています。

  • オキシベンゾン-3:オスの精子数の減少や、メスの月経周期の変化
  • メトキシケイヒ酸エチルヘキシル:オス・メスの仔ともに、脳の発達への影響を調べる発達神経毒性試験での影響
  • ベンゾフェノン:ラット→オスに腎尿細管腺腫、単核球白血病、メスに単核球白血病の発生
    マウス→オスに肝細胞腺腫単独、及び肝細胞腺腫と肝細胞がん、メスに組織球性肉腫(稀少がん)の増加

そのため、紫外線吸収剤を使用した日焼け止めは、わんちゃんのためには使用しない方がいいでしょう。

平松育子獣医師
ベンゾフェノンは、発がん性の恐れもあり飲み込むと有害であるとされ、長期にわたる、または反復暴露により肝臓や腎臓に障害が起こる恐れがあります。

平松育子獣医師
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルにも内分泌かく乱作用があり、女性ホルモン男性ホルモン甲状腺ホルモンをかく乱します。オスの仔では男性ホルモンの量が少なく、また前立腺と精巣のサイズも小さくなりました。成長後の精子数の減少も確認されました。メスの仔では女性ホルモンの量が少なく、生殖器官への影響が見られています。

紫外線散乱剤も実は注意が必要

紫外線散乱剤の日焼け止めの犬に危険な成分

近年では、ノンケミカル「紫外線散乱剤」の日焼け止めニーズが高まっていますね。「紫外線散乱剤」は、酸化チタンや酸化亜鉛などが日焼け止めの効果を発揮します。

酸化亜鉛はUV-Aを、酸化チタンはUV-Bをより防ぐ効果があり、ほぼほとんどのノンケミカルの日焼け止めに使われています。

酸化亜鉛は、犬が中毒を起こすリスクがあるため注意が必要です。

酸化チタンについては、現在は「毒性がない」と言われていますが、過去の動物実験では「毒性がある」と報告されていました。
以下がその一例です。

 
2012年:ラットでの酸化チタン吸入実験→悪性肺腫瘍の発生
2016年:ナノ粒子のラットへの経口投与→肝・腎・心・雄性生殖器への障害、酸化ストレスの誘発、・免疫系のバランス異常などの毒性
2020年:ラットへの104週間全身暴露(経気道投与)→細気管支-肺胞腺腫の発生増加
2020年:ラットへの28日間反復経口投与→毒性学的に優位な変化は見られなかった
2022年:ラットへの90日間反復経口投与→尿検査、血液検査、血液生化学的検査および臓器重量においても毒性影響は見られなかった

 

ワタシ
実験については、年代の差や実験法によって結果が異なっているのかもしれません。個体差もあるでしょう。ですが、やはり犬への悪影響は未知数だと捉え、ノンケミカルの日焼け止めであっても、できる限り舐めさせないようにしなくてはいけないなぁと感じます。

ワタシ
それに、フランスでは、2020年より酸化チタンが添加された食品が禁止となっています。

ワタシ
ですが、紫外線吸収剤より安全なのは確かなので、使用するなら紫外線散乱剤(ノンケミカル)ですね。

日焼け止めには犬が中毒を起こす成分もある

犬にとって日焼け止めの中毒になる成分

上述した「亜鉛」を含め、「キシリトール」や「エチレングリコール」中毒を起こす可能性もがあります。

  • 亜鉛:腎不全、肝機能不全、膵炎など
  • キシリトール:低血糖による意識の低下、昏睡、けいれん、急性の肝不全など
  • エチレングリコール:急性腎不全や高血糖・神経症状など

亜鉛のサプリメントで中毒になったわんちゃんもいます。

ネットで亜鉛の話があって

手作り食は亜鉛がとれにくいって書いてて

亜鉛のサプリを購入

昨日夜から飲み始めたんですが

ご飯を食べて1時間後くらい

ママン、ウトウト寝てたんですが

おと~さんが2人の様子がおかしいと。

見ると2人ともフラフラ歩いて

ソファには吐いた後

少し落ち着きがなくてかなり様子が変

(中略)

様子を先生に話すとやっぱり

急性亜鉛中毒

平松育子獣医師
亜鉛は毒性が低いミネラルですが、食事中の亜鉛 が多いとほかのミネラルの吸収を阻害します。 中毒が起きると、食欲不振・元気消失・嘔吐・貧血・血尿などが起こります。

ワタシ
一定量を食べなければ中毒にはなりませんが、万が一日焼け止めを飲んでしまうと危険ですね。

犬が舐めても大丈夫な日焼け止めの選び方

ワタシ
上記のことを踏まえると、、結局は「紫外線吸収剤」でも「紫外線散乱剤」でも、日焼け止めは「犬にとっては危険である」と言えますが、日焼け止めを塗った肌を可能な限り舐めさせない前提で、選ぶとすれば以下の5項目を満たす日焼け止めにしましょう。

【絶対条件】無添加の日焼け止め

日焼け止めの選び方1 無添加

犬にとって良くないと、明らかにわかっている添加物が含まれた日焼け止めはやめましょう。

アルコール・合成界面活性剤・防腐剤合成香料など。基本的に「無添加」は絶対条件です。

【絶対条件】ノンケミカル処方の日焼け止め

日焼け止めの選び方2 ノンケミカル処方

上述したように、紫外線吸収剤は犬にとって危険です。ノンケミカル(紫外線散乱剤)の日焼け止めを使いましょう。

酸化亜鉛やチタンは「非ナノ」を選ぶ

日焼け止めの選び方3 ナノ化されていない酸化亜鉛・酸化チタン

ノンケミカルの日焼け止めで含まれている酸化亜鉛や酸化チタンは、ナノ粒子化されていないものを選びましょう。

ナノ化されていても肌には浸透しないとも言われていますが、通常の大きさと比べれば浸透しやすいように感じますよね。=わんちゃんが舐めた時にも心配は大きくなります。

オーガニックコスメが◎

日焼け止めの選び方4 オーガニック

農薬や化学肥料などを使わずに有機栽培している原材料を使っているオーガニックコスメは、犬だけでなく人にも安心です。

シンプルな成分の日焼け止めを選ぶ

日焼け止めの選び方5 シンプルな成分

何がどう犬に影響するかわからないため、極力成分が少ない日焼け止めを選ぶのがベストです。

無添加日焼け止め使用上の注意点

犬に対する無添加日焼け止めの注意点

化学合成成分や危険な添加物の含まれていない日焼け止めは、わんちゃんにとって比較的安心ですが、注意しなければいけないことがあります。

それは、無添加だと酸化や腐敗しやすいということ。

犬が「古くなった日焼け止めを塗った肌を舐める」と、リスクが高まるんです。

ドッグフードでも同じで、無添加が増えていますが、保管法によっては逆に犬にとって有害になり得ます。

無添加化粧品や日焼け止めは、多くが開封後3ヶ月〜半年が期限となっているので、日焼け止めを購入したら使用期限を管理しておきましょう。

犬にとって日焼け止めの危険性は未知数

犬に日焼け止めを塗った肌を舐めないようにしつけをしている女性

日焼け止めが犬に何がどんな影響を及ぼすのか、全ての成分が解明されているわけではありません。危険性は未知数です。

そのため、わんちゃんが舐めてきた時は、そっと阻止し撫でたりおもちゃで遊ぶなど、気を紛らわせるようにしてあげてくださいね。

 

参考文献
酸化チタンの発がん性に関する GHS 分類区分の変更について(詳細)日本酸化チタン工業会 https://www.sankatitan.org/cms/wp-content/uploads/2022/08/2016.10hatsugan.pdf / 酸化チタン(ナノ粒子、アナターゼ型)のラットを用いた吸入によるがん原性試験報告書https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000678843.pdf / ナノ酸化チタン及びナノ銀の経口反復投与毒性と体内動態解析  https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/A8%E5%88%A5%E6%B7%BB4-1_20KA1006_%E5%8E%9A%E5%8A%B4%E7%A7%91%E7%A0%94%E8%B2%BB_%E5%88%86%E6%8B%85%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%EF%BC%91.pdf / ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議(JEPA) https://kokumin-kaigi.org/wp-content/uploads/2020/10/%E7%B4%AB%E5%A4%96%E7%B7%9A%E5%90%B8%E5%8F%8E%E5%89%A4.pdf / 厚生労働省 https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/119-61-9.html / 日本化粧品工業会(JCIA) https://www.jcia.org/user/public/uv/affect / 日本貿易振興機構ジェトロ https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/04/e76813f0a19fd209.html / 厚生労働省https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds_label/lab119-61-9.html /